連作祭壇画無主物
釜山制作版『2013年8月22日に死んだ原発作業員』
(二〇一八年二月に釜山にて制作 )
この釜山バージョンにいくつかの内容を付け加えて描いた。
一つは、福島第一がもっとも危機的な状況だった時期に、
現場に残って作業した双葉郡出身の作業員たちと、
彼等とともに働いた男たちのことである。
彼らは事故前から福島第一で働いていた作業員たちが顔を見たこともなかった男たちだった。
やくざを専門領域にとする著述家鈴木智彦氏の『やくざと原発』の中に、
彼らのことが記されているのを後に知った。
鈴木氏も自ら作業員となり潜入取材を試みたこのノンフィクションについて、
後のインタヴューで鈴木氏は
「99パーセントやくざでしょうね」
と語った。
また、後に報道された事件についても付加えた。
ある暴力団の男が、原発作業員として人を送り込み、
彼らの日当をはね、逮捕された事件だ。
そしてやはり日本でこの絵を描いた数年後に明るみに出てきた
日系ブラジル人作業員のことも。